上海の状況と上海事務所の今後の取り組み
日中経済協会上海事務所大分県経済交流室
(大分県上海事務所)藤原由博

上海の状況と上海事務所の今後の取り組み
日中経済協会上海事務所大分県経済交流室
(大分県上海事務所)藤原由博
はじめまして、大分県上海事務所の藤原です。5月に上海に赴任し5か月がたちました。その間私は、上海、北京、武漢、広州、香港での物産や観光イベントへの参加、企業訪問、市場視察などを行ってきました。今回は、物産と観光の2つの分野について上海を中心とした状況を報告したいと思います。
上海は言わずと知れた中国随一の商業都市で、現在常住人口は2,400万人を超えるといわれています。市内には無数の高層ビル群と十数本の地下鉄路線があり、今もなお縦に横に拡大を続けています。また、日本人も9万人近く住んでいると言われ、床屋や学習塾などサービス業において日本人を対象にしたビジネスも成り立っています。
上海バンド付近の高層ビル群
物産について
上海では久光、伊勢丹、高島屋、アピタなどの日系小売店やシティスーパー、シティショップなどの現地の高級スーパーで、多くの日本食品が販売されています。日本の大手メーカーの商品だけでなく、中小メーカーの商品も販売されており、県産品としては、焼酎、日本酒、調味料、乾麺、缶ジュース等が販売されています。ただ、輸入商品には輸送費、関税、各種手数料等が加わるため、結果的に販売価格は現地生産商品の2~3倍になっています。
店頭で多くの日本食品が販売されている割には、日本食品を扱う商社はそれほど多くなく、アルコール専門の商社を除けば、中国全土で主な商社は10数社ほどです。したがって、上海や広州の商社が輸入した日本商品が、北京や武漢でも販売されているという状況になっています。今後はこれらの商社への商品PRや既存取引の量、 アイテム数の拡大に取り組んでいきます。
シティスーパーの入口
中国では日本以上にネット販売が盛んで、家電製品、化粧品はもちろんですが、日本食品を購入することも可能です。主に二つの方法があり、一つは、日本の販売サイトで購入し国際郵便等で中国に配達する方法、もう一つは、貿易商社等が中国に輸入した商品をネッ トで購入する方法です。前者は送料が高く、後者はなぜかネットでの販売価格と店頭価格がほぼ同じであるため、両者とも今一つ魅力が感じられないという状況です。しかし今後は、新たなネット販売の方法が出てくる可能性もあり、目が離せない分野だと思います。
観光について
中国人訪日客の増加が日本で報道されるようになって久しいですが、上海領事館によると2014年の上海領事館でのビザ発給件数(団 体・個人)は約87万件で前年の2.4倍でしたが、今年のビザ発給件数はさらに倍以上の200万件近くになるのではないか、とのことです。特に個人ビザ発給件数は、2014年の1年間の発給件数約26万件を、今年の5月の段階で超えました。
JNTOによる中国の旅行会社に対するアンケート調査では、今後力を入れていく旅行先として九州を上げた会社は68%で、前年の 29%から39ポイントも増加しました。現在、多くの九州旅行商品の中に、すでに別府と湯布院が組み込まれていますが、今後さらなる訪日客の増加と個人旅行者によるニーズの多様化が予想されるため、 受け入れ側の態勢づくりが重要になると思われます。
一方で、上海を含む華東地区では九州の知名度は高いですが、北京では九州への直行便がなく、大連や青島を経由する便しかないため、まだまだ九州を訪問する旅行商品は多くありません。華東地域以外での知名度向上も課題となります。
九州観光PRイベント(蘇州)
おわりに
不安定な日中関係、停滞気味な経済等不安定要素は多いですが、隣に人口10倍以上の巨大な消費市場があることは決して無視できません。駐在期間中にも予想できない出来事が発生するかもしれませんが、各分野において全力で取り組んでいきたいと思います。
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