日中経済協会上海事務所 大分県経済交流室 駐在員レポート
大分県上海事務所の業務と今後の中国ビジネスの展望について

【はじめに】

3月27日に大分県庁で中国・上海最新事情セミナーと題した講演を行う機会に恵まれ、県内企業の方々など100名余りの参加者を対象にお話をさせていただきました。

今回の「上海熱線」では講演のダイジェストを掲載し、参加できなかった方々にも内容をお届けします。


講演会の様子

【大分県上海事務所の業務】

当事務所の主な業務は、「県内企業の中国ビジネス支援」、「県産品の輸出・販路拡大」、「中国人観光客誘致」、「中国進出支援」、「情報収集・発信」、「大分県人会」などです。

写真は昨年11月に中国ビジネス支援として県中小企業団体中央会の視察団が訪中した際に上海市金山区日本中小企業産業園をご案内したときの様子です。


上海市金山区日本中小企業産業園視察

県産品の輸出拡大は、各種物産展や展示会、商談会等を通じて行っています。昨年度は中国で最も消費が盛んになる春節前に瀋陽で行われた九州物産プロモーションに参加しました。同じく1月には上海で行われたJChereが主催する展示販売会にも出展しています。上海での展示会では、貿易会社などとの商談会も開催して販路の拡大を図りました。


JChere商品展示販売会

販路開拓商談会

観光客誘致については、日常的な旅行会社への営業活動のほか、各種観光展や地域PRイベントに参加して推進しています。写真は昨年9月に上海で行われたオールアジアクルーズコンベンションと12月に同じく上海で開催された天皇誕生日祝賀レセプションでの様子です。


オールアジアクルーズコンベンション

天皇誕生日祝賀レセプション

情報発信は当事務所のホームページで活動状況を紹介しているほか、ジェトロ大分情報誌への寄稿や毎月1回のOBSラジオ番組出演などで中国・上海事情を県内の皆さんにお伝えしています。


上海事務所ホームページ

OBSラジオ「朝感ラジオ」 上海トピックス

当事務所は上海大分県人会の事務局も務めています。会員は現在約100名で、3か月に1回の懇親会や日帰りツアーなどを通じ親睦を深めています。上海大分県人会は大分県内で留学経験のある中国人の会員が多いことも特徴です。


上海大分県人会

また、上海大分県人会で特筆すべきことは、会員が大分県企業の中国ビジネス展開の相談に乗ってくれる態勢を整えていることです。当事務所ホームページに相談コーナーのアイコンが設置されており、当事務所を通じて会員の方と相談が行えるシステムになっています。


中国ビジネス相談コーナー

【県内企業の中国進出と中国に輸出されている県産品】

現在、大分県から中国に進出している企業には、衣料関係ではダイナン(上海、江蘇省溧陽)、ユキネーム(上海)、食品関係では上海大鶴蛋品(上海)、寿司めいじん(上海)、ベルクール(武漢)、武漢九州乳業(武漢)、自動車関係では江藤酸素(大連、上海)、豊洋精工(湖北省襄陽)、ディスプレイ什器関係は平和マネキン(上海、蘇州)、物流関係ではNBSロジソル(大連、上海)、臼杵運送(上海)などがあります。

また、上海で定番商品となっている大分県産品には三和酒類の焼酎・リキュール、富士甚醤油の醤油・麺つゆ、JAフーズおおいたのジュース、四井製麺工場の乾麺などがあります。


ダイナン

上海大鶴蛋品

寿司めいじ

ベルクール

 

【今後の中国ビジネスの展望】

 今後の中国ビジネスの見方は悲観論と楽観論に大きく分かれているように思えます。

 中国経済や中国投資に悲観的な見方をする人はその理由として、「中国の経済成長の減速」、「今後の労働力人口の減少」、「人件費の高騰」、「領土問題・反日機運の高まり」、「大気汚染など深刻な環境問題」、「貧富の格差拡大」、「暴動の頻発」などを挙げます。

一方、楽観的な見方も多く、その根拠として、「8%近い成長の現状」、「インフラの整備」、「サプライチェーンの充実」、「豊富な人材(日本語人材含む)」、「内陸部の都市化」、「圧倒的な市場規模」などが挙げられます。

ここ1~2年、中国の景気減速や反日デモ、大気汚染問題などの高まりを受け、日本企業の海外進出の関心が、「チャイナプラスワン」として東南アジア諸国に向けられています。東南アジア諸国も有望な市場でしょうが、国によってはインフラが中国ほど整備されていない状況であり、日本語を理解する人材が不足していることはよく指摘されています。また、タイ、マレーシア、ベトナム、ミャンマーのGDPをプラスしても広東省1省のGDPと同規模であり、市場としての中国を無視するのは企業の戦略としてあり得ないとの意見もあります。

また、貿易・投資をめぐる世界情勢の変化にも目を向ける必要があります。国内に賛否両論はありながらもTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)、日中韓FTA(自由貿易協定)の交渉が今年から始まることとなっています。さらに今年3月にはEUとのEPA(経済連携協定)の交渉開始も合意されたところです。

こうした協定等の妥結がいつになるのかは現時点で何とも言えませんが、長期的にみれば貿易自由化の流れが加速する方向にあり、現時点では障壁の多い中国への輸出や投資ですが、自由化の枠組みが整えば状況が現在とは大きく変化することが考えられます。


【上海事務所の活用を】

今後県内企業の皆さんに考えていただきたいのは、事業の海外展開に関心を持つことと、日本の報道だけに頼らずご自身の目で海外の実情を見ることです。

上海事務所では中国・上海に関心がある方の現状視察をサポートしています。写真に掲載したのは、昨年11月に県中小企業団体中央会の視察が訪問した「蘇州市木瀆鎮日本企業サービスセンター」です。食品関係では「香港Food Expo」、ギフト関係では「上海ギフトショー」などの展示会もありますし、ものづくり関係では「日中ものづくり商談会」、自動車関係では「オートメカニカ上海」、工業全般では「中国工業博覧会」など、出展・視察できるたくさんの機会があります。


蘇州市木瀆鎮日本企業サービスセンター

香港Food Expo

日中ものづくり商談会in上海

こうした場所、展示会については、当事務所のホームページにも内容を掲載していますので是非ご覧ください。

http://www.pref-oita-shanghai.cn/

今後とも積極的に上海事務所をご活用くださるようお願いします。


上海事務所が入居する上海国際貿易センター

事務所正面

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