上海を訪れたことのある人ならば上海の観光地としてどこを思い出すでしょうか。豫園や外灘(バンド)は、多くの方がすでに訪れたことがあると思います。少し新しいところでは、浦東にある地上101階、高さ492mの上海環球金融中心(上海ヒルズ)に行き、世界一高い展望台に登った方もいらっしゃるでしょう。
そのほか、上海にはいろんな魅力的な場所がありますが、狭く迷路のような路地に様々なアートショップや外国料理店、ブティックや小物店などが密集している田子坊もたくさんの人が集まる人気スポットですし、上海市街地の石庫門と呼ばれる古い建物が残る地域を再開発して、レストラン、ショッピングセンター、事務所ビル、住居用マンションなどが立ち並ぶ新天地も夜のバー街が特に有名で上海の観光名所となっています。 田子坊も新天地も、ここ10年くらいに有名になった場所であり、テレビや雑誌で見たことがある方も多いのではないかと思います。 中国国内のみならず、世界中から人の集まる上海ではいろんな集客スポットの建設が各地で進んでいますが、今回は「老碼頭」と「思南公館」を皆さんにご紹介します。
【老碼頭】 老碼頭(ラオマートウ)は外灘から南に1kmほど行った場所にある古い埠頭地域を再開発した複合商業施設です。老碼頭は旧埠頭という意味ですが、埠頭の古い倉庫などを再利用し、黄浦江沿いの老碼頭は開放的な雰囲気の中にレストランが立ち並び、上海が港町であることを実感させます。 黄浦江に面したエリアは浦東地区の高層ビルや南浦大橋を見ることができ、特に天気のよい夜は素晴らしい夜景を見ながらの食事も楽しめます。 老碼頭の中心的な位置にある噴水エリアは昔、油脂工場として使われていた場所だそうですが、噴水の周りはおしゃれな飲食店に囲まれています。 夜は上海の若者や外国人で賑わう老碼頭ですが、一歩路地を入れば昔ながらの古い建物も残り、地元の人が路上で将棋を打つ長閑な風景を見ることもできます。
【思南公館】 上海に旧フランス租界と呼ばれる一帯があり、そこにはフランス租界時代の面影を色濃く残す1930年前後に建てられた老房子(洋館)が多数点在しています。2011年にオープンした思南公館は、そうした洋館をリノベーションしたスポットです。周辺には上海孫中山記念館や周恩来ゆかりの周公館などもあり、先ほどご紹介した新天地や田子坊からも比較的近く、天気のいい日は絶好の散歩エリアです。 思南公館は新天地ハイエンド版を目指しているらしく、新天地よりもさらに高級なレストランやバーが並んでいます。そのせいか新天地よりも人が少なくゆったりと過ごせる雰囲気があり、上海セレブのライフスタイルを垣間見たような気分になれます。 ホテル・マンションエリアにある別荘タイプのホテルが人気という話を聞いたのでネットで料金を調べてみましたが、1泊なんと43,700元(日本円で約57万円)。8人で利用となっていましたが、けた違いの料金に驚いてしまいました。 しかし、敷地内を散歩してみると、ここが本当に上海の市の中心部かと思えるような静けさで、豪華な洋館と上品に植えられた木々に本当に心が癒される感じがしました。
【終わりに】 上海ではいろいろな商業施設や観光スポットが次々に誕生しています。来るたびに「新しい顔」ができているのがこの街の魅力の一つかもしれません。 私は8年ほど前に北京に住んでいました。昨年4月に上海へ赴任した当時は、故宮、天安門、万里の長城のある北京と比べ、上海は古いものがないところと感じていました。しかし、上海での時間が長くなるにつれ、上海独特の雰囲気、特に租界時代の名残を留める数々の建築物や通りに植えられたプラタナスの並木などは北京にはない風景で、次第に心をひかれていきました。 皆さんも上海を訪れた時は是非こうした場所にも足を運び、新たな魅力を発見してみてください。
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