中国への地域産品輸出ビジネスについて
昨年3月11日の東日本大震災以降、日本からの中国への食品の輸出は約10カ月間ストップした。その間に、上海の百貨店のデパ地下や高級スーパーに並んでいた日本製のお菓子やジュース、調味料などは、今や、台湾や韓国、東南アジアの国々の商品に取って変わられている。日中政府間の協議がようやく整い、最近やっと輸出が再開されたことから、今年は日本食品復活の年 となることを願うばかりだ。 |
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≪狙いは中間層≫
現状では上海で販売されている日本食品のほとんどが、日本のナショナルブランドの輸入商品、又は中国に進出している日系企業の商品だ。では、なぜ地域産品が苦戦しているのだろう。理由は、知名度がないのに価格が高いからである。逆にナショナルブランドの商品は知名度が地域産品に比べ高く、大量生産によって価格が抑えられているので、中国人が購入するハードルが地域産品に比べて低くなっている。これに加え、大手日系進出企業の現地生産商品や、その他外国産商品の商品、じわじわと品質を上げてきている中国企業の商品と競り合っていくのが容易でないことは想像に難くない。 |
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≪ハードルの高い輸出ビジネス≫
経済成長により個人所得が上がるにつれて、炭水化物に代わって肉類や魚類、乳製品の消費が増えていきます。また、これまでに食べなかった中国の地域の料理や外国料理への関心も高まり、必然的にこうした料理を提供する外食の機会が増えるようになりました。また、若い夫婦を中心に家で料理することが減って外食するケースが増えています。ジェトロ上海事務所の中国人スタッフにインタビューしてみると、平均して1週間に夜3回ほど外食していることが分かりました。中には週6回は外食であと1回は母親が作っているというツワモノもいたぐらいです。 |
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≪成功するためには≫
これまで上海をはじめ各地の高級ス-パーマーケットで数多くフェアを開催した経験から、中国への輸出では次の点が重要と思われる。 ・商品そのものが中国人にわかりやすいこと、 (こだわり調味料などの販売は難しい) ・商品の特徴をうまく中国人に伝えること、(価格に見合う価値をわかってもらえる工夫) ・価格が中間層に受け入れられること、(価格が高くても売れるが、量が出ない) ・パッケージがキレイなこと、(特に女性・子供には有効) ・効果的な販促活動を行うこと、(とにかく、知ってもらう、体験してもらうことが大切) ・有力な中国パートナーと組むこと、(大分県・大分市、ジェトロで紹介可能) 大分県の成功事例として挙げられるのが九州乳業のLL牛乳だ。牛乳は中国人も良く知っている。日本の牛乳ということで安心安全は当然、LL牛乳ではあるがチルドに近い味が出ていておいしい。パッケージも大自然の中で育まれている乳牛をイメージさせるものとなっている。店頭での小売価格は1ℓで29.8元と一般の中国産牛乳の2倍だが、中間層の手の届く範囲に収まっていた。また、こうした点に加え、現地でのメーカーと小売店が一体となった販促活動が奏功した。ほかにもJAフーズおおいたの果物飲料、富士甚醤油の調味料などが定番商品となっている。 |
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≪現地生産も視野に≫
他方で、日本商品の価格、現下の為替レート、中国の輸入規制、関税などを考えると輸出で儲けるのは至難の業に思えてならない。今後は、思い切って中国に出ることも検討すべき時期にきている。次回のこのコーナーでは、中国進出・現地生産のポイントについて紹介する。 |
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