日中経済協会上海事務所 大分県経済交流室 駐在員レポート
高級スーパーでの大分県産品プロモーション

2010年のGDP総額でついに中国が日本を抜いて世界第2位の経済大国となりました。しかし1人当たりのGDPでは100位に甘んじています。中国政府はこれまで成長目標を高く設定して経済の量的拡大を目指してきましたが、沿岸部と内陸部の格差、都市と農村の格差を是正し、調和のとれた発展を目指す方向に大きくかじを切りました。

具体的には工業主導からサービス業主導へ産業構造を転換し、労働者の所得を引き上げて消費主導型社会を実現するというものです。こうした政府目標のモデル的存在になっているのが上海です。折しも上海では4月から最低賃金が14%引き上げられ、平均賃金も8.5%程度アップしていることから一層の消費が期待されているところです。

そうした上海で1月後半から2月後半にかけて高級スーパーにおいて大分県産品の販売プロモーションを行いました。今回はその様子をレポートします。


Ole エントランス CITYSHOP 天山店

≪大分県フェアin Ole≫

1月21日~27日までの1週間、上海市の繁華街、徐家匯のショッピングモール内にある Oleという高級スーパーで大分県フェアを行いました。大分県から10社のメーカーが来訪して、スィーツ、お菓子、調味料、飲料などを実演販売しました。購買力が高まる春節直前のフェアだったので、予想どおり良く売れました。特に菊家の「ぷりんどら」や、あかれんがの「ワッフル」、南ん里の「焼き芋」などスィーツを中心に、ユニバースフーズの油で揚げていな「ポテトチップス」や、ヨーグルトン乳業の青汁を飲みやすくした「大麦若葉青汁」なども好評でした。上海市の小売額全体は前年度比で毎月15%以上の伸びを見せています。中国産との味の違いがはっきりしているスィーツや、健康志向にマッチした商品がこれから伸びていくのではないかと思っています。店側からも、本格的な日本のフェアは初めての試みだったが、賑やかな雰囲気が多くのお客さんを呼ぶ結果になったと評価され、次回も是非、大分県フェアを開催してもらいたいとラブコールもありました。今回、完売した商品については、定番商品として取り扱われるように輸入業者と一緒になって店側に働きかけていくつもりです。


Oleでの大分県フェア 冷蔵庫に並んだ県産スィーツ

≪久光百貨での乾椎茸プロモーション≫  

1月の28日~30日の3日間、上海の有力百貨店の一つである久光百貨のデパ地下で大分県産乾椎茸のプロモーションを行いました。大分県の乾椎茸は品質、生産量ともに日本ではNO1となっていますが、中国は椎茸の本場で、種類が豊富で価格も安いことから苦戦が予想されました。今回持ってきた椎茸は、冬菇100g 天白冬菇100gなど4種類で、価格は税金や、輸送コスト、貿易会社のマージンなどで、日本で売っている価格の約2倍になっていました。乾椎茸を水でもどしてフライパンでバター焼きにして試食したところ、香りの良さと、味の良さも手伝って、冬菇と天白冬菇を中心に3日間で21,000元(約30万円)ほど売り上げました。

中国産の椎茸の5倍以上もする椎茸が予想以上に売れたのは理由があります。現在、中国で生産されている椎茸のほとんどが菌床栽培で作られていて、商品になるまでに3ケ月程度しかかからず、化学肥料や農薬などが使われている可能性が高いのです。他方、大分県産椎茸は、椎茸が採れるまでに最低2年かかり、農薬、化学肥料を一切使わない原木栽培なので安心、安全です。こうした、中国産椎茸と大分産椎茸の違いについて分かりやすく説明したPOPを使うことにより、確かに値段は高いが安全・安心を追求した商品ということで納得して高い椎茸を買ってもらうことができました。その商品の価格と消費者がイメージする商品の価格差を埋めない限り商品は売れません。消費者にその商品の付加価値をわかってもらうようにいかに現場でわかりやすく説明するかが大切です。3月には再び久光百貨で大分県産乾椎茸を販売する機会がありますので、ここでも売上を伸ばすことによって久光百貨側に定番化を働きかける予定です。


久光百貨に並んだ大分県産乾椎茸 水で戻してバター焼で試食

≪CITYSHOPでの大分県産品フェア≫  

2月18日から1週間、今度は住宅街にあるCITYSHOPという高級スーパー2店舗で大分県フェアを開催。久光百貨で手応えをつかんだ乾椎茸を始め、10社31品目の商品が展示即売され、高橋製茶の「玄米茶」、湯布院散歩道の「ジャム」、ぶんご銘醸の「達磨焼酎」など5社が実演販売を行いました。CITYSHOPの崔軼雄社長によれば、中国でも食品の安全性について意識が非常に高まっていて、価格が少しくらい高くても安心安全で健康に良い商品は売れると言います。実際、今回出展した高橋製茶の「玄米茶」の茶葉は有機栽培で、玄米茶というお茶は中国にないため、試飲をすると大変好評でフェア終了を待たずに完売しました。同じくフェア期間中に完売した菊家の「地卵はちみつプリン」と一緒で、完売後も、買い求めに来るお客さんが後を絶ちませんでした。


CITYSHOP虹梅店 CITYSHOP天山店

フェア期間中にどれだけ売れるかも重要ですが、フェアは自分の商品について中国の消費者がどう反応するか、どんな意見を持っているかがわかる貴重な機会なので、参加企業がこれらを今後の商品開発に生かし、よりマーケットオリエントな商品を作っていただくことが更に重要になります。前にもお伝えしたように、知名度がなく価格も比較的高い地方産品にとって、中国市場への参入は決して簡単なものではありません。フェアの際には売れても、フェアが終わって棚に並んでから売れずに賞味期限を迎えて廃棄処分となるケースが多いのが現状です。大分県の中小企業にとってはいつも日本から社員を派遣して販促活動をすることは難しいと思いますが、例えば週末に絞って中国人販売員を手配する などの販促方法を取るべきだと考えます。我々行政側としては県内企業の方たちが活躍できる商談会やフェアの場づくりを今後も継続的に行って、一つ、一つ成功事例を作っていこうと思っています。


          

(以上)

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