新年明けましておめでとうございます。今年も中国(上海)からビジネスに役立つ生の情報を発信していきますのでよろしくお願いいたします。 さて、中国では、これまで上海、北京、広州など沿岸部の大都市が経済を牽引してきましが、今後は武漢、重慶、成都などの中部、内陸部の都市が成長エンジンとなる時代に入ってきました。また、いわゆる第2級、3級の都市においても急ピッチで都市化が進んでいる状況です。最近、出張で江蘇省淮安市と湖北省武漢市を訪問してきましたので、今回はその様子をレポートします。 ≪江蘇省淮安市≫ 江蘇省淮安市政府の招きで江蘇省の南北の境にある同市を訪問しました。上海から南京まで高速鉄路で1時間15分、南京から北に向かい車で約2時間で淮安に到着。隋の時代に整備された北京と杭州を結ぶ大運河が通っており、古くから交通の要衝として栄えました。淮安市外事橋務弁公室の江迈副主任によると、淮安は古くから「南船北馬」と言われ、北から来る人は馬に乗って来て、淮安で船に乗り換え南へ行き、南から来る人は船で来て、淮安で馬に乗り換え北に行っていたそうです。また、中国人に最も人気があるリーダーの一人、周恩来元首相の故郷として、また、西遊記の作者呉承恩の出身地としても知られています。 人口は約530万人で、産業構造は第一産業15.2%、第二次産業48.3%、第三次産業36.5%。GDPの伸びは年間平均15%で推移しています。台湾の企業が多く、外資は韓国、ドイツ、フランス、イタリアなどで、有名企業ではハンコック、富士康が進出。日系企業も数社あり、うち1社はホテル用のスリッパを生産し、業績を上げているということです。上海や蘇州に比べ賃金コストが低く、普通技術工人、経営マネジャーなどで上海の半分のコストで雇えるのは魅力です。 |
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また、街の随所でマンションや商業施設の建設が進んでいるのには驚きました。案内してくれた市の公務員の方は、自宅の他にマンションを2つ持っていて、ローンを月に5,000元(約6万円)を返済しているとのことでした。こうしたマンション購入は実需もさることながら、投資目的が多く、現在建築中のマンションもほとんど売約済みだそうです。 市内中心部にある中央新亜百貨(本社南京市)の地下スーパーマーケットを視察したところ、輸入商品コーナーには欧州産のチョコレート、台湾やマレーシア産の日本風お菓子などが並んでいました。数少ない日本産商品の中で、iichikoシルエット(126元)、iichikoスーパー(178元)、JAフーズおおいたのウーロン茶大紅袍(23元)が販売されていたのは驚きでした。同百貨店の金強営業部長によれば、欧州産のチョコレートなどは70元~100元程度でも贈り物としてよく売れているということです。日本産品のフェアをやりたいので場所代はいらないから、是非、開催してもらいたいとのラブ・コールもありました。近くにある韓国資本のロッテマートや中国資本の金鷹百貨にも行きましたが、輸入食品はごくわずかでした。都市化が急ピッチで進み高級百貨店がいくつも進出している割には日本食品が本格的に入っていないので今後、フェアなどの開催により市場の可能性を探ってみることも大切だと感じました。 |
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≪湖北省武漢市≫
昨年12月半ばには大分市の経済ミッションで武漢市を訪問しました。武漢市の人口は約930万人。湖北省まで広げると約6,000万人の人口が控えています。湖北省の経済成長率は10年前から中国全体の成長率を上回っており、過去6年は二桁成長しているので、省都の武漢市はそれ以上に成長していることになります。北京から広州、上海から成都の南北東西の高速鉄道が交わる交通の結節点であり、中央政府の中部、内陸への重点投資とも相俟って今後、武漢は目覚ましい発展が予想されます。武漢の市場としての重要性を見越して既に伊藤忠商事や東芝などの日本企業が販売拠点を築いています。流通市場については、香港の新世界百貨などのデパート、台湾の大潤発、米ウォルマート、仏カルフールとなど既に大型スーパーも進出しており、地元資本では武漢武商集団と武漢中百集団の2強がスーパーやショッピングモールを展開しています。武漢でも輸入商品の大半は台湾、欧州各国、韓国商品で日本商品はごくわずかといった感じでした。台湾系のスーパー「大潤発」の輸入食品コーナーにあった日本商品はほんの数種類でしたが、なんとここでもJAフーズおおいたの「粒ぶどう」と「おおいたっ茶」がありました。これらの商品は上海逍龍信息貿易有限公司を通じて中国各地で販売されているのです。 |
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≪武漢九州乳業≫
武漢九州乳業有限公司は、武漢市内から車で1時間ほどの郊外にある武湖農場生態農業園の中にあります。2008年11月に九州乳業との合弁会社として設立。昨年12月1日に武漢市場に商品を初出荷しました。近くにある自社牧場ではオーストラリアやカナダから輸入したホルスタインが約2000頭いて、毎日、限定された量の牛乳を搾乳しています。工場を見学しましたが、九州乳業の工場とそっくりで、見学コースも設けてあり、地元の小学生たちを呼んで乳製品の教育をしているそうです。 |
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製造している商品は、主に牛乳、ヨーグルト、プリン各種です。武漢市内のほとんどのスーパーに売り出しています。牧場と牛乳加工場、その他付属のレストランなどの整備で第1期計画が終了した段階です。牛乳ビジネスが軌道に乗れば、隣接地に生態農園などのレジャー開発をメインとする第2期計画もあるようです。 |
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武漢市を代表する地元スーパーの武商スーパーと中百スーパーに行ってみたところ、乳製品コーナーには武漢九州乳業の商品がまとまって置かれていて、専用のマネキンお嬢さんがそれぞれの店舗に1人ずつ配置されていました。特に人気が高いのが3個9.9元で販売しているコーヒープリンとバニラプリンだそうです。牛乳は980mlで15元~一番高いのは28.8元で売られていました。試飲してみましたが、味が良く今後が期待できます。 |
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≪最後に≫
今、中国各地では猛烈な勢いで都市化が進んでいます。おそらくそうした街は数百といった数に上っているでしょう。日本企業も含め既に外資系大企業が進出している上海、北京など沿岸部の都市に比べて、日本の商品や技術がまだ入っていない地域も多く、まさに先行者利益を確保できる可能性が高いと思います。競走の激しい都市を避けて、第2級、3級都市で勝負する戦略も発展を続ける中国では十分あり得るのです。 |
(以上) |
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