日中経済協会上海事務所 大分県経済交流室 駐在員レポート
富裕層から中間層へ
 

5月に開幕した上海万博は7月中旬までで2,700万人以上が入場した。夏休みに入ったこともあり、連日40万人以上の人が万博会場を訪れている。これは大分市全市民が毎日押し寄せているのと同じことになる。当然、各パビリオンは長蛇の列ができて人気館は4時間、5時間待ちだ。芋の子を洗うような、日本人ならうんざりするような中でも、中国人は屈託がなく、エネルギッシュでたくましい感じがする。上海万博を訪れるほとんどの人は高い経済成長により所得を伸ばして生活に余裕ができた中間層だ。彼らはより豊かな生活を求めて旺盛な消費行動をとることから、上海で最新モデルの都市生活を体感し、これにより中国各地で消費意欲が点火する期待がかかっている。

これまで大分県を含め多くの地方自治体が上海や北京、広州など大都市の富裕層をターゲットに市場開拓を行ってきた。結果、各地方産品の輸出は細々とは続いているが、ほとんどの企業がまとまった経済単位の儲けになっていないのが現状である。現行の中国の輸入規制、関税・増値税、為替レートの下では、多くの地方産品は一部の富裕層にしか受け入れられず、輸出拡大は至難の業となっている。これから中国で戦うには輸出による危険の少ない艦砲射撃ではなく、リスクはあっても中国に進出し、無尽蔵に広がっていく中間層をターゲットにする方が良いのではなかろうか。中津出身の黒川重幸さんは中津唐揚げの会社を上海で立ち上げ万博に出店しており、お店は連日多くの中国人でにぎわっている。今後の展開が楽しみだ。



「豊唐鶏」黒川重幸さんと
          

                                  

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