日中経済協会上海事務所 大分県経済交流室 駐在員レポート
史上最大の上海万博が開幕

5月1日、「より良い都市、より良い生活」をテーマに発展途上国では初めての開催となる上海万博が開幕しました。過去最多の246の国と国際機関が参加する上海万博の入場者数は過去最高の7,000万人と見込まれており、史上最大の万博と言われています。PRソングの盗作騒動や開幕初日での混乱などで日本での注目度もアップしているようですが、世界経済の牽引役となっている中国がこの上海万博を機に、これまでの経済発展の質や市民生活の質を大きく変えようとしている点で注目すべき万博となっています。上海が一番輝くときに、ここで仕事のできる喜びをかみしめながら、万博会場の様子や万博を迎えての街の様子などについてレポートします。


≪指定日チケットをゲット≫

5月の労働節休暇について国務院は5/1~5/3の3連休と指定していましたが、万博開幕に万全を期すため、上海市政府は4月1日、上海のみ4/30~5/4まで5連休とすることを決定。合わせて、各家庭に万博入場チケット1枚と200元分の記念交通カードの配布が発表されました。チケットには指定日券や通常日券、3回券、7回券、夜間券などがあり、値段もそれぞれ異なります。指定日券とは人出が多くなる5/1-3(労働節休暇)、10/1-7(国慶節休暇)、10/25-31(閉幕前の1週間)のチケットのことで200元です。通常日券が160元、夜間券が90元、3回券が400元、7回券が900元となっています。私は万博会場が落ち着くであろう6月頃に行ってみようと思っていたのですが、4月30日に大分から友人のF氏が来たので、ダメ元で5月1日にチケット販売代理店の交通銀行に行ったところ、幸運にも5月2日の指定日券を入手することができました。


≪ボランティア≫

F氏から事前に、インターネットが利用できるビジネスホテルの予約依頼があったので、自宅周辺のビジネスホテルを回ったところ、4月30日、5月1日はすでに予約が入っているホテルが多く、どのホテルも通常価格より2割程度料金がアップされていました。結局、4軒目にして1日350元のビジネスホテルを予約することができました。中国で感心するのは、比較的安いホテルでも必ずインターネットは無料で使えるということです。また、空港やマクドナルド、スターバックス等では無線LANが使えるようになっています。4月30日に浦東空港にF氏を迎えに行ったところ、国際線の出口には上海万博の案内カウンターが設置され、4人のボランティアが中国人や外国人の対応に追われていました。4人のうち3人は上海市内の大学に通う大学生で、大学からは課外活動として認めてもらえるそうです。5月1日、簡素なビジネスホテルにF氏を迎えにいくとビジネスホテルの狭いロビーに万博のボランティアが一人立っているのに驚きました。恐らく上海市内のほとんどのホテルで最低1人のボランティアを配置していることがうかがえます。地下鉄の駅にも万博カウンターが設けられ、自宅最寄りの駅では大学生が2人机について案内をしていました。総じてこれらの若いボランティアは、中国によくいる愛想のない店員さんとは違いとてもフレンドリーです。

浦東空港の万博案内カウンター 地下鉄の駅でもボランティアが活躍
≪会場までのアクセス≫

万博会場の入り口は全部で13カ所、地下鉄やバス、船で行くほか、万博タクシーでも会場入りすることができます。万博タクシーは4月初めごろから市内で見かけるようになりました。フォルクスワーゲンのワゴンタイプでその数約4,000台。背の高い欧米人が乗っても余裕があり、視界も広く、荷物もたくさん積めるなど、通常タクシーに比べ格段に良くなっていますが料金は同じことから大人気となっています。

5月2日、地下鉄8号線で耀华路駅まで行って中国館に近い6号門へ。前日買った指定日チケットを自動改札機に通して安全検査へと向かいましたが、目の前には黒山の人だかり。安全検査まで行きつくのに1時間ほどかかりました。安全検査は空港のそれと全く一緒で、ライター、ペットボトルなどは会場に持ち込めないようになっています。


大人気の万博タクシー 入場ゲートで安全検査を待つ来場者
≪各国パビリオン≫

一番人気の中国館は予約券が必要で、朝早くから並ばないと予約券を入手できません。万博会場に着いたのが10時頃だったため、中国館は諦め、比較的待ち時間の短そうな、カンボジアとインドネシアのパビリオンを見学しました。カンボジアはアンコールワットの一部を再現しており、シンプルでしたが民族音楽の演奏もあって、なかなか見応えがありました。このあと近くにあるオーストラリア館やシンガポール館に入ろうとしたのですが、長蛇の列ができており2時間待ちの状態だったので、諦めてヨーロッパエリアに向かいました。ここでも、ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、スイス、トルコといった国のパビリオンは大行列で、20分待ちくらいのアイルランド館、エストニア館に入りましたが、長時間並ばなくてもよい館は、見応えも少ないといった感じでした。気温も30度まで上がっていたせいかアイルランド館に列に並んでいたときに、係りの人が70歳以上の人は優先的にパビリオンに入れる光景も見られました。気温が30度を超えると万博会場を貫く大通りでは天井からミストが出るようになっています。人気パビリオンも1つくらい入って見ようと思いアメリカ館に1時間ほど待って入ってみました。オバマ大統領やヒラリー長官らが出演する10分ほどのビデオを2本見せる至ってシンプルなパビリオンでしたが、皆で力を合わせて環境を大切しようとするメッセージがヒシヒシと伝わってきて、中国人がこのパビリオンをどう感じているのか興味い感じがしました。最後に、日本館は2時間待ってでも見ようと思って行ったのですが、3時間30分待ちの表示に驚きました。近くにある韓国館もかなりの人気で、少々待っても入れそうになかったので待たずに入れるミャンマー、ラオス、ベトナムのアジア合同館や朝鮮館、イラン館を見て帰途につきました。


アンコールワットが出現 天井からはミストが
米国館にも長い列が 超人気の日本館(紫蚕島)

≪最後に≫

生まれて初めての万博参観で、ほんの一部のパビリオンしか見ることができませんでしたが、一つのエリアでいろんな国の観光、文化、価値観を身近に体験できる万博をすなおに楽しいと思いました。上海万博には半年間にわたって中国全土から所得を増加させた中間層がたくさん押し寄せて来ます。最新の技術やファッション、マナーに触れ、感動をもって帰った人たちの消費意欲が高まり、中国政府が目指す消費型社会への転換に重要な役割を果たすと期待されています。


     

                                  (以上)

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