新年明けましておめでとうございます。早いもので上海に赴任してもうすぐ2年になろうとしています。最近つくづく思うのは上海に来て以来、時間が経つのがとても速いということです。環境や習慣、言葉が違う外国に住んでいて、しかも日本に比べ経済成長のスピードが速い社会で生活をしていることや、これまでの仕事と違い上海では商工、観光、農林水産、国際交流、県人会など仕事の間口が広く、デスクワークより外に出る仕事が多くなったからかもしれません。上海に来て使った名刺は2000枚を超えました。上海での仕事や生活を通じて中国や日本の各界各層の人たちと接することができ、ネットワークが広がることを大変ありがたく感じています。今回は新年号ということで趣向を変え上海での家族生活についてレポートします。 ≪赤ちゃん・子供≫ 2008年4月に家族6人で上海に赴任しましたが、2010年の新年を我が家は7人で迎えることになりました。上海に来てできた子供なので名前は「海」という字を入れ「海成」としました。日本でも子供が5人いる家族が少ないですが、一人っ子政策の中国ではなおさらです。5人の子供を連れて上海の街を歩いていると痛いほど周りの視線を感じます。食事に入ったレストランでは厨房の料理人まで見に出てきたこともありました。どこの国でも赤ちゃんは「宝」と考えられており、日本でも「子宝に恵まれる」という表現がありますが、中国語では赤ちゃんのことをズバリ「小宝宝」(シャオ・バオ・バオ)と言うのです。赤ちゃんを抱っこしていれば、話しかけてきたり、あやしたり、ほっぺを触ったりして日本人以上に他人の赤ちゃんに対して積極的に接してくるのには驚きました。地下鉄やバスの中で押し合いへしあいする中国人ですが、赤ちゃんや子供がいればすぐに席を譲ってくれます。子供が風邪をひかないように、中国の子供を見ていると親がかなり厚着をさせています。我が家の子供は暑がりで、いつも薄着ですが、女房が子供を連れて歩いているとよく中国人のお年寄りから、服を着せるように注意されるそうです。面白いのは、ズボンを穿いたままトイレに行けるようお尻のところが10cmほど空いたズボンを穿いている幼児が多いことです。もちろんこうしたズボンは街で平気に売られているのです。どこでもすぐにトイレができて機能性は良いと思いますが、環境に良くないのとお尻が冷えてあまり感心はしません。家族連れで買い物に行くときに困るのがトイレです。概して汚れているトイレが多く、トイレのほとんどが洋式ではなく日本で言う和式トイレで、水洗の水圧が低いことやパイプが詰まりやすいことから、使用後の紙をゴミ箱の中に入れるようになっています。赤ちゃんのオムツ変えシートもありません。上海万博で道路や地下鉄の整備が進んでいますが、国際都市上海として衛生的なトイレの設置、トイレマナーの普及にも取り組んでもらいたいと思います。 |
|
≪学 校≫ 上海中心部は黄浦江という川で東西に分かれており、黄浦江の西側地区を浦西と呼び、東側地区を浦東と呼んでいます。今年の5月から10月まで半年間開催される上海万博は、この黄浦江両岸で開催されます。もともと浦西に官公庁や主要な企業が立地し、上海の経済を引っ張ってきましたが、20年ほど前から浦東の開発が始まり、今では、上海ヒルズや金茂ビルなど世界有数の近代的なビルが立ち並ぶ一大金融貿易センターになっています。上海には浦西と浦東に日本人学校があります。浦西の日本人学校は虹橋校、浦東の日本人学校は浦東校と呼ばれています。因みに私の長男は虹橋校の6年生で、長女は4年生です。虹橋校は1975年の開校時には生徒7名でしたが、現在の生徒数は1339名(小学部のみ)となっていて、生徒数の激増を見ても日系企業の中国進出がこの間にいかに進んだかがわかります。浦東校は虹橋校の急激な生徒増加に対応するため2004年に小学部と中学部併設で開校しました。現在の生徒数は小学部が563名、中学部が524名となっています。虹橋校と浦東校を合わせると上海日本人学校は世界最大の日本人学校となっています。(2位はバンコク日本人学校) |
|
≪買い物≫ 自宅マンションの中には「ママーズ」というミニスーパーが入っていて、玉子、牛乳、野菜、肉などの生鮮品は主にここで調達しています。雑貨やお菓子などは大型スーパーのカルフールや世紀聯華で購入し、醤油、味噌、だし類は大分から持ってきています。現在、日本から中国に輸入できる生鮮品は、りんご、なし、魚しかありません。ときどき日本産のコメが輸入されていますが、2kgで198元(約2,700円)とかなり高いので買ったことがありません。我が家で買っているお米は日本の商社が合弁で中国の東北地方で作っているコメで5kgで45元(約650円)、味もいいです。コメのほか肉、野菜、果物など、ほとんど口に入るものは中国産のものばかりです。大分にいるときはできるだけ中国産のものは避けていましたが、中国では中国産のものを食べずに生活していくことはできませんし、その必要もないようです。一昨年の粉ミルク事件を契機に食品の安全性向上を国の重要課題として、各種食品検査を徹底して行っています。また、消費者の安全意識の高まりを見据えて、有機農業やGAP(良好農業規範)など質の高い農業への転換が進んでいるのです。旺盛な消費需要を狙って日本の企業も中国に進出して日本の技術で安心安全な食品をつくる動きが加速しています。日本の駐在員の食品に対する意識や消費性向を示すものとしてわかりやすい例がどんな牛乳を買うかでわかります。現在、上海で売られている牛乳は、①「蒙牛」、「光明」などの中国製高品質牛乳(価格は15元~16元)②アサヒビールが山東省で日本の技術・管理でつくっている「唯品」(22元~23元)、③「北海道牛乳」、「大阿蘇」、「くじゅう牛乳」の牛乳(30元~38元)などの日本や外国からの輸入LL牛乳の3つのカテゴリーに分けられます。この中で日本人の駐在員家族が一番買っているのがアサヒブランドの「唯品」です。上海在住の日本人がよく利用する食品スーパー「しんせん館」の関係者によれば、1ケ月で「大阿蘇」が約600本売れているのに対し、「唯品」は約20,000本も売れているそうです。日本産の牛乳は安心・安全だけど高すぎるし、純中国産は安けど心配なので、日本の技術・管理でつくられた少し高い中国産牛乳に落ち着いているのだと思います。 |
|
≪外 食≫ 国際都市上海には中華料理をはじめ、フレンチ、イタリアン、タイ料理、日本料理、韓国料理など数えきれないほどのレストランがあります。おそらく3年間上海で生活したとしても、ほんの一部のレストランしか行けないと思います。日本食レストランは700店舗以上があるといわれています。「なだ万」、「山里」などの高級レストランから「カレーハウスCOCO一番屋」、「吉野家」などのカジュアルレストラン、中国人経営の日式の料理店と様々です。長崎県から空輸で新鮮な鮮魚が入ってくるようになり、おいしい鮨や魚料理を出す高級日本料理店も増えています。平日のお昼に職場の近くの普通の日本料理店に行きますが、ランチが35元~40元と日本の値段とあまり変わりません。週末は子供が好きなマクドナルドによく行っています。ハッピーセットが12元、ハンバーガーセットが20元~22元と日本の半分くらいの値段なので助かっています。ときどき焼き肉店や点心のお店にも行きますが、500元~600元ほどかかるのでそうそう行けません。昨年から、レストランやファーストフードのお店にお店の衛生状態を示すマークが掲示されるようになりました。上海万博における食の安全を確保するために、小規模レストラン、ファーストフード店についても、食品安全や衛生に関する検査を行い、顔マークをつけて市民に公表するようになったのです。顔マークにはお店の衛生状態によって「良好、普通、劣る」の3種類があり、それぞれ「笑顔・普通顔・泣顔」で示されています。マックやケンタッキー、ハーゲンダッツなどは「笑顔」、地元人が行くような中華料理お店は「普通顔」マークが多いようです。 |
≪旅 行≫ 中国には春節と国慶節の2回の長期休みがあり、多くの駐在員は日本へ帰国したり、中国国内や東南アジアへ旅行に行ったりしています。我が家は人数が多くなり飛行機代がかかる上にホテルの一部屋に泊まるのもままならないので長期休みは自宅でゆっくりしていることが多いですが、来月の春節休みには久々家族と一緒に大分に帰ろうと思っています。 ≪最後に≫2010年5月から10月まで開催する上海万博では7,000万人の来場者が見込まれ、上海はこれまで以上に活気づき、中国全体も巡航速度で経済成長を続けると思われます。発展する中国(上海)の最新情報を今年も発信していきますのでよろしくお願いします。 (了) |
【 もどる 】 【 Top 】 |