日中経済協会上海事務所 大分県経済交流室 駐在員レポート
「こよみ」について(創造おおいた 2008年2月号)
     中国にはふたつのこよみがある。西洋基準の太陽暦のこよみと、月のめぐりを基礎とした太陰暦(農暦)のこよみだ。農暦は新月の日を月の一日とし、1年は354~355日となるので、2、3年に一度閏月がある。
     中国ではいまだに農暦の1月1日が正式の正月で、春節といい、一週間の休みにはいり、みなふるさとに帰省する。今年は太陽暦の2月7日が春節にあたる。
     日本では、一番寒い時期に、年賀状に「初春」とか「新春」とか書くが、それは昔の習慣を無理に太陽暦にあてはめたためにそうなったのだ。中国では、季節季節の年中行事はすべて農暦にしたがって行うため、大変季節感がある。七夕はちゃんと梅雨が明けてからだし、春節が来てまさにこれから春が始まる。人も動植物もこれから活動的になる。
     企業の決算は新暦の12月31日締めで、1月中はまもなく春節休みにはいるため、仕事が手につかないので、みんなのんびりしている。一方、4月~3月を会計年度とする日本人は正月が終わってからも相変わらず忙しい。
     太陽暦ですべてを統一するというのは、日本人の合理主義的な面をよく示しているが、やはり、生き物は四季のサイクルに合わせて生活した方が健康的なのではないかとも思う。農暦は、生き物の生態にじつによく合致したこよみだ。日本人も、俳句の世界だけでなくもっと実生活にとりいれたらどうだろうか。
     やっかいなのは、自分の誕生日を農暦で覚えている人も多く、この人たちは公的な文書に記入するときどっちを書くのだろうかと余計な心配をしてしまう。
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