日中経済協会上海事務所 大分県経済交流室 駐在員レポート
上海コトブキ事情
     2006年、中国は結婚ブームに湧きました。2005年は春節が立春より遅く、2006年の春節は立春より早かったので、2005年は縁起の悪い年(春が来ないから)とされ、結婚を控えた人たちが2006年にどっと結婚をしたのです。上海市では162700組が結婚し、2004年の124900組、2005年の102700組をはるかに上回りました。国際結婚も毎年2500組ほどあり、その4割は日本人との結婚です。ピークの労働節や国慶節の休みには、上海人の半分が結婚式に招待されているような具合です。一人っ子世代の「小皇帝」同士の結婚ということもあり、年々派手さを増して、ブライダル関連産業も急速に発展拡大しています。

 <上海の結婚式>

     中国のホテルや大型飲食店に行きますと、よく結婚披露宴をしています。会場の入り口にポスター大の派手な前撮り写真が立てられているのですぐにそれとわかります。日本のようにきちんとしたプログラムに沿って執り行われるというのはあまりなく、飲んで食べてお祝いをして、三々五々散っていくというスタイルが多いようです。出席者の服装も非常にラフなものです。新郎新婦は、上海の場合、昔から西洋の影響を受けているせいか、洋装での結婚式が一般的です。

     上海市婚礼業協会が2006年に行ったアンケートによると、結婚にかかる費用の全国(都市部の富裕層)平均は約14万元(約210万円)で、その内訳は、写真が3484元、ジュエリーが5577元、婚礼衣装2007元、結婚式7610元、宴会料理1テーブルあたり1024元、新居の内装56998元、新婚旅行9227元、家電品16680元、家具17494元となっています。さらに、自家用車を買う場合は94800元、新居を買えば3858元/㎡(最多は80100㎡)がプラスとなります。

     上海のカップルは、全国平均より5万元も多く平均19万元も費やします。ほんの4年前には約5万元が平均といわれていましたから、4年間で14万元も上昇しました。結婚式に呼ばれた人は、400元から1000元のお祝い金を持ってくるとはいえ、親の負担は大変なものです。おまけに上海の男性はマンションを持っていなければ結婚できないとさえ言われています。

     ブライダル産業市場は、上海だけでも約200億元の規模があるとみられます。

 <前撮り写真>

     中国の結婚式に欠かせないものが「前撮り写真」です。結婚式の前に、写真館に行って、衣装とメイクをばっちりしてもらい、スタジオや屋外で結婚写真を撮ります。屋外では、市内の名所や公園で、歴史的建築物や庭園などを背景にして、さながら映画撮影隊のロケのようです。背景と衣装を変えながら撮った写真は一冊の分厚いアルバムになり、結婚式当日、来場者に披露されます。日本人なら赤面するような大胆なポーズも満載です。

     この写真撮影にかなりお金をかけますので、結婚写真は一大産業になっています。市内のメインストリートやショッピングセンターにはかならず結婚写真業者が店を出しています。

 <日本式ウェディング>

     中国の結婚式は本来、レストランやホテルは場所を貸して料理を出すだけ、写真業者は写真を撮るだけ、花屋は花をとどけるだけ、衣装屋は衣装を売るだけ・・・というような状況だったので、新郎新婦はそれぞれ別々に手配しなければならず、また専門知識がないため、ちぐはぐな衣装になったりして、日本のウェディングに比べるとかなりいい加減にすませていました。最近、日本のブライダル業者もそうしたニーズに目をつけて、結婚式をトータルコーディネイトする日系業者が数社進出してきました。最初は、式の演出やコーディネートなど、目に見えない部分になぜお金を払うのか理解してもらうのが大変だったようすが、今はそのよさが徐々に口コミで広がり、日本式ウェディングを申し込むカップルが増えてきているということです。

 <新婚旅行>

     若いカップルの9割以上が新婚旅行に行くことを希望しています。人気のある旅行先は、海外ならプーケット島、ブルネイ、バリ島などの東南アジアの他モルジブ、フランスなどです。国内では、海南島、九寨溝、雲南省、青島-大連、アモイなど風光明媚なところが人気です。日本が人気の旅行先になって欲しいところですが、まだ日本へは団体旅行しか認められておらず、価格帯も高いのでなかなか候補に上がらないようです。

 <あかちゃん産業>

     結婚ブームに続くのはベビーブームです。2007年の干支は特にめでたい「金のブタ」だと巷で大変盛り上がっていますが、実は「丁亥(火のブタ)」の年ですから間違いなのです。いずれにせよブタは繁栄の象徴ですので、今年はベビーブームが起こります。ブライダル産業と同様、ベビー関連産業も右肩上がりで伸びそうです。

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