水サミットに思う |
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先日、安徽省で、水質悪化のため絶滅したとされるヨウスコウカワイルカを目撃したとの報道があった。これが本当ならうれしいニュースだが、それでも種を維持するだけの個体が生き残っているとはいえない。
中国の21世紀最大の課題は水問題の解決にあると言っても過言ではない。黄河、長江と文明を育んだ大河を擁する中国だが、13億人民の一人あたり水資源量は世界平均の4分の1しかない。北方で水が枯れて行く一方、南方では毎年の洪水被害、そして全国的に深刻な水質汚染問題。水の汚染によって、水があっても農業用水さえ確保できない地域も多い。 2005年11月、吉林省で化学工場が爆発、松花江が汚染され、流域住民の飲料水、漁業に多大な影響を及ぼし、汚染された水が隣国ロシアまで流れ込んだ事件はまだ記憶に新しい。 今年5月、太湖でアオコが大量発生し、水道水が異臭を放ち、無錫市民は蒸留水を買うためにスーパーに殺到した。上海で昨年から輸入され始めた「日田天領水」は、現地の蒸留水の約10倍もの価格にもかかわらず、健康に配慮する日本人や中国人高所得者層に売り上げを伸ばしている。 12月、別府市で、アジア太平洋各国の首脳クラスが集まって水問題を語る「第1回アジア太平洋水サミット」が開催される。記念すべき1回目の開催地になるということは、大分県が水環境に対し非常に意識の高い地域であるということを示すことになる。これを機会に、中国の水問題をともに考え、日本の治水、節水、公害対策の経験を、大分から情報発信し、「水の大分」としての存在感を高めていけたらと思う。 |
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